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イベント・展示会運営会社の案件別原価管理をエクセルで行う限界と実務

イベント・展示会運営会社の案件別原価管理をエクセルで行う限界と実務

会場費・外注費は案件ごとに集計できても、投下した人件費まで積み上げないと、締め後の粗利は実態とズレたままです。

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イベント・展示会運営会社の案件別原価管理をエクセルで行う限界と実務

会場費・外注費は案件ごとに集計できても、投下した人件費まで積み上げないと、締め後の粗利は実態とズレたままです。

展示会ブースの出展運営や周年記念イベント、新商品発表会などの案件を月に数件から十数件回している中小のイベント企画・展示会運営会社であれば、会場費と外注費の請求書を案件ごとにファイリングし、エクセルで一覧管理すること自体はすでに行っている会社がほとんどです。問題は、その案件にどれだけの人件費(担当者の投下時間)がかかったかまで積み上げて、締め後に「実際の粗利」を出せているかどうかです。この記事では、イベント・展示会運営会社の案件別原価管理をエクセルでどこまで運用でき、どこから崩れやすくなるかを整理します。

イベント運営会社の机に会場費・外注費の請求書とエクセル帳票、案件ファイルが積み重なる様子を俯瞰で描いた概念イラスト 会場費・外注費の請求書とエクセル帳票が案件ごとに積み重なる様子を象徴するイメージ

会場費・外注費の請求書ベース集計までは、エクセルで問題なく回る

案件名・会場費・外注費・請求状況を1行1件で並べる一覧表までは、エクセルで無理なく運用できます。

案件別の会場費・外注費の発注一覧表と、投下時間が空欄のままになっている担当者別工数欄を示す概念イラスト 発注額は埋まっていくのに、投下時間の欄だけが空欄のまま残っていく

案件別原価管理の土台になるのは、案件名・開催日・会場費・主要な外注費(施工装飾、音響照明、什器レンタル、警備、運営スタッフ派遣など)・受注額・請求状況を1行1件で並べた一覧表です。実際に同時進行案件が5〜8件程度までの会社であれば、この一覧表と請求書のファイリングだけで「今どの案件にいくら発注しているか」は十分に把握できています。ここまでの段階でつまずく会社はそれほど多くありません。

問題は一覧表の先です。会場費・外注費の発注額を並べているだけでは、その案件にどれだけの人件費がかかったかまでは分かりません。担当者が準備・当日運営・撤収にかけた投下時間が分からなければ、受注額から会場費・外注費・人件費原価を差し引いた「実際の粗利」は計算できず、一覧表は「発注管理表」止まりで「原価管理表」にはなっていない、という状態になりがちです。

案件別の原価は「会場費+外注費+人件費原価」を積み上げて初めて出る

会場費・外注費は請求書で直接わかりますが、人件費原価は担当者の投下時間に時間単価をかけて別途算出する必要があります。

人件費原価45万円を稼働時間150時間で割って時間単価原価3,000円を算出する式を示す図 時間単価原価が分かれば、投下時間をかけるだけで案件別の人件費原価が出せる

具体的な数字で見てみます。ある担当者の人件費原価(給与に社会保険料等の会社負担分を加えた金額)が月45万円、月間の稼働時間を150時間とすると、時間単価原価は45万円÷150時間=3,000円/時間になります。この時間単価に案件ごとの投下時間をかければ、請求書ですぐわかる会場費・外注費と同じ土俵で人件費原価を積み上げられます。この前提と計算は、自社の人件費原価と月間稼働時間に置き換えて電卓で検算できます。

外注費の精算タイムラグと人件費の未計上が、案件別粗利をさらに見えにくくする

当日の追加発注で外注費が見積りから増額精算されることが多く、人件費原価まで計上しないと、案件別粗利は実態より良く見えてしまいます。

案件X16%・案件Y13.3%・案件Z(精算後30%)の粗利率の違いを示す棒グラフ 同じ受注額でも、外注費を見積りで締めるか精算確定額で締めるかで粗利率は大きく変わる

前提を置いて考えてみます。ある月、案件X(展示会ブース出展運営、受注額250万円)は会場費60万円・外注費90万円・投下時間200時間(人件費原価60万円、時間単価3,000円で計算)で、原価計210万円、粗利40万円(粗利率16%)でした。案件Y(周年記念イベント運営、受注額150万円)は会場費30万円・外注費55万円・投下時間150時間(人件費原価45万円)で、原価計130万円、粗利20万円(粗利率13.3%)でした。案件Z(新商品発表会運営、受注額180万円)は、当初の外注費見積り40万円だけで原価を締めると、会場費25万円・外注費40万円・投下時間120時間(人件費原価36万円)で原価計101万円、粗利79万円(粗利率43.9%)に見えます。ところが当日に照明の増設や装飾の追加対応が入り、外注費が精算段階で65万円まで増額されると、原価計は126万円、粗利は54万円(粗利率30%)まで下がります。同じ案件でも、外注費を見積り段階の金額のまま締めるか、精算確定額で締めるかで、粗利率は14ポイント近くズレます。

私たちがイベント・展示会運営会社のAI活用・業務効率化のご相談を受けてきた中で、複数の会社に共通して見られたのが、まさにこの「外注費は発注時点の見積り金額を一覧表に記録したまま、当日の追加発注分を精算確定額に更新していない」状態でした。当日対応が多いイベント業の特性上、装飾・音響照明・警備などの追加発注は珍しくなく、この更新漏れが積み重なった案件ほど、実際の粗利が見た目より薄くなっていることに気づきにくくなっています。

対策 — 案件コードと外注費の見積・精算2段階管理へ設計し直す

対策の起点は、全案件に案件コードを発番し、外注費・会場費を見積額と精算確定額の2段階で記録し、担当者の投下時間を週次で記録する運用に変えることです。

案件コードを軸に見積額・精算確定額と週次投下時間ログが案件別原価集計に集約される様子を示す図 見積額・精算確定額と週次の投下時間ログを、案件コードという共通キーに集約する

まず、全案件に一意の案件コードを発番し、会場費・外注費を「発注時点の見積額」と「精算が確定した金額」の2段階で記録します。当日の追加発注や仕様変更が発生した時点で見積欄を上書きするのではなく、精算確定額として別の列に記録することで、どの案件でどれだけ外注費が膨らんだかを後から検証できるようにします。

次に、担当者の投下時間入力を週次で必須にします。月末にまとめて入力すると、準備期間の細かい調整対応や当日の想定外対応の時間が記憶から抜け落ちやすくなります。ここまではエクセルの運用ルール変更で対応できますが、同時進行の案件数や外注パートナーが増えるほど、案件コードの入力漏れや精算確定額への更新は手作業だけでは追いつかなくなります。自社の案件別原価データの管理状況がどこまで運用でカバーできるか判断に迷ったら、無料の経営AI診断で現状を可視化し、どこを運用改善で、どこをシステム化すべきかを一緒に整理できます。

自社で始める3ステップ — 棚卸しから案件コード運用まで

案件別採算の見える化は、直近案件の会場費・外注費・投下時間を棚卸しし、案件コードを統一してから週次で記録するルーチンをつくることが最短ルートです。

デスクで案件一覧表と会場図面を見比べながら棚卸し作業をしている手元の様子 直近案件の棚卸しから、案件コード統一・週次記録のルーチンへ

  1. 直近3ヶ月で扱った案件を洗い出し、案件ごとの会場費・外注費(見積額と精算確定額の両方、わかる範囲でよい)・担当者の投下時間を一覧表に棚卸しする
  2. 全案件に案件コードを発番し、外注費・会場費を「見積」「精算確定」の2段階で記録する運用と、週次の投下時間入力を仕組み化する
  3. 月次で「会場費+外注費(確定額)+人件費原価」を積み上げた案件別原価を算出し、粗利率が薄い案件・追加発注が多かった案件を経営者がレビューする

この3ステップを回し始めると、どの案件で外注費が見積りから膨らみやすいのか、どの案件タイプが本当に採算に乗っているのかが具体的な数字で見えるようになります。掛け持ち案件が増えて、エクセルの運用だけでは限界を感じ始めたら、初月無料の経営AI診断(通常30万円相当)で自社の会場費・外注費・投下時間データに合わせた次の一手を相談できます。

まとめ

イベント・展示会運営会社の案件別原価管理は、案件コードを軸に会場費・外注費を見積と精算の2段階で記録し、担当者の投下時間に時間単価原価をかけて人件費を積み上げることが出発点です。エクセルでも型を作れば運用は始められますが、当日対応による外注費の精算増額と人件費の未計上が重なるほど、手作業での案件別粗利の把握は実態から乖離していきます。自社の案件別原価管理がどこまで運用でカバーできるか判断に迷ったら、初月無料の経営AI診断(通常30万円相当)で会場費・外注費・投下時間データの管理状況を可視化し、改善提案までご一緒します。

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よくある質問

Q. イベント・展示会運営会社の案件別原価管理はエクセルでどこまで対応できますか
A. 同時進行の案件が5〜8件前後で、会場費・外注費の請求書を案件ごとにファイリングできていれば、案件コードを軸にした一覧表と月次の原価集計をエクセルで運用できます。案件数が増え、外注費の精算金額が当初の見積りから頻繁に変わるようになると、手作業の更新では追いつかなくなっていきます。
Q. 外注費は見積り金額と精算確定金額のどちらを案件別原価に使うべきですか
A. 最終的に支払う精算確定額を採用してください。装飾や音響照明の外注は、当日の追加対応や仕様変更で当初の見積りから増額することが多く、見積り金額のまま原価を締めると外注費を過小に見積もったまま黒字と判断してしまいます。精算が確定した時点で外注費シートを更新する運用にしてください。
Q. 担当者の人件費はどのように案件別原価に含めればよいですか
A. 担当者の人件費原価(給与に社会保険料等の会社負担分を加えた金額)を月間稼働時間で割った時間単価に、案件ごとの投下時間をかけて算出します。準備期間・当日運営・撤収まで含めた実働時間を週次で記録すると、感覚に頼らない精度の高い人件費原価が出せます。
Q. 案件別原価管理をエクセルからシステム化する目安のタイミングはいつですか
A. 案件コードの入力漏れや外注費の精算反映漏れ、投下時間の集計確認が月に数時間を超える負担になり始めたら、エクセルの運用改善だけでは吸収しきれなくなっているサインです。案件数や外注パートナーが増える前に、自社のデータに合わせたシステム化の要否を診断で整理しておくと、後からの移行判断がしやすくなります。

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