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IT・SES企業の人月単価と案件別原価管理をエクセルで行う限界と稼働配賦の実務

IT・SES企業の人月単価と案件別原価管理をエクセルで行う限界と稼働配賦の実務

技術者の稼働率と人月単価をエクセルで案件別に配賦しようとすると、掛け持ち案件の按分計算が属人化し、どの案件で利益が出ているか見えなくなります。

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IT・SES企業の人月単価と案件別原価管理をエクセルで行う限界と稼働配賦の実務

SESビジネスの原価構造は「技術者原価×稼働率」の配賦で決まる

SES・ITベンダーの原価管理の核心は、技術者一人ひとりの人件費原価を稼働率に応じてどの案件へ配賦するかという一点に尽きます。

エクセルの案件別工数表と技術者の勤怠データが分断されている様子を示す抽象的な概念イラスト 技術者の稼働データと案件別原価は、放っておくと別々の表に閉じ込められる

製造業であれば原価は材料費・労務費・経費に分けて積み上げられますが、IT・SES企業の原価はほぼ人件費そのものです。技術者に支払う給与・社会保険料・法定福利費といった会社負担コストが原価の大部分を占め、それをどの案件にどれだけ配賦するかで、案件別の粗利は大きく変わります。ここを大雑把にしか計算できないと、会社全体では黒字でも、実際にはどの案件が利益を生み、どの案件が赤字なのかが見えないまま経営判断を続けることになります。

多くの中小ITベンダー・SES企業では、月次の損益計算書は経理システムから自動で出てきますが、「案件別」の粗利は別問題です。技術者の稼働実績をエクセルの勤怠管理シートや案件別工数表に手入力し、月末に人件費を按分するという運用が一般的です。この按分計算の精度が、案件別の採算把握の生命線になります。

掛け持ち案件の按分計算が崩れる理由 — 数値で見る配賦のズレ

技術者が複数案件を掛け持ちすると、人件費原価を稼働率で按分しない限り、案件ごとの粗利は正しく計算できません。

技術者Aさんの人件費原価68万円を案件X・案件Yへ稼働率で按分し粗利率を算出した図 同じ技術者でも、案件によって粗利率に8ポイントの差が生まれる

具体的な数字で見てみます。技術者Aさんの人件費原価(給与・社会保険料等の会社負担コスト)が月68万円だとします。Aさんは案件Xと案件Yを掛け持ちしており、案件Xは契約人月単価100万円(フル稼働換算)で稼働率60%、案件Yは契約人月単価90万円(フル稼働換算)で稼働率40%です。

この場合、当月の請求額は案件Xが100万円×60%=60万円、案件Yが90万円×40%=36万円で合計96万円になります。人件費原価68万円を稼働率で按分すると、案件Xへの原価配賦は68万円×60%=40.8万円、案件Yへの原価配賦は68万円×40%=27.2万円です。すると案件Xの粗利は60万円−40.8万円=19.2万円(粗利率32%)、案件Yの粗利は36万円−27.2万円=8.8万円(粗利率24%)と、同じ技術者でも案件によって粗利率に8ポイントの差が出ます。会社全体の合計だけを見ると粗利28万円・粗利率29%と平均的に見えますが、実際には案件Yの採算が案件Xより明確に低いという事実は、この配賦計算をしない限り見えてきません。

稼働率のブレと待機期間が粗利をさらに揺らす

契約時の稼働率と実際の稼働実績はしばしばズレ、案件間の待機期間の人件費が計上先を失うと、粗利はさらに不正確になります。

全社平均の粗利率29%と、案件別に算出した粗利率32%・24%を比較した棒グラフ 全社平均だけを見ていると、案件間の粗利率の差が隠れてしまう

上記の例は契約通りに稼働できた場合の話です。実際には、案件Xの緊急対応で予定より多く工数を使った月、逆に案件Yの仕様確定待ちで手が空いた月など、月ごとに実稼働率がブレます。エクセルの案件別工数表を毎月更新している会社でも、この実稼働率の入力が担当者の感覚に頼っていると、契約上の稼働率60%と実際の稼働率が一致せず、原価配賦もずれたままになります。

さらに厄介なのが、案件と案件の間に発生する待機期間です。前の案件が終わり次の案件のアサインが決まるまでの数日から数週間、技術者は特定の案件に紐付かない状態になります。この期間の人件費は「どの案件の原価でもない」ため、多くのエクセル運用では会社全体の一般管理費に紛れ込み、案件別の粗利計算からは見えなくなります。待機期間が積み重なるほど、案件別の粗利は実態より良く見え、会社全体の利益率だけが静かに削られていくという状態が起こります。

技術者コード×案件コードの2軸で稼働実績を週次配賦する型

対策の起点は、技術者コードと案件コードの2軸を週次の稼働実績表に固定し、月末ではなく週次で配賦を更新する運用に変えることです。

技術者コードと案件コードの2軸で週次稼働実績が配賦計算に集約される様子を示すフロー図 技術者コード×案件コードを週次稼働実績表の共通キーに固定する

まず、全技術者に一意の技術者コード、全案件(および待機用の「非稼働コード」)に一意の案件コードを発番し、週次の稼働実績入力を必須にします。月末にまとめて入力すると記憶が曖昧になり実態と乖離しますが、週次であれば「今週は案件Xに3日、案件Yに2日」という粒度で記録でき、按分の精度が上がります。待機期間も非稼働コードとして明示的に記録することで、待機コストがどこにも計上されない問題を防げます。

次に、技術者コード×案件コードの組み合わせごとに人件費原価を按分する計算式を固定のフォーマットにし、毎週末に案件別の予定粗利を更新します。これをエクセルの運用ルール変更だけで実現することはできますが、技術者数や案件数が増えるほど、コードの入力漏れや按分計算式の維持は手作業では追いつかなくなります。私たちが中小ITベンダー・SES企業のAI導入相談を受けてきた中でも、稼働実績表の按分式が壊れて案件別粗利が信用できなくなっていたケースを何度も見てきました。稼働配賦の運用がどこまで自社で回せるか判断に迷ったら、無料の経営AI診断で自社の稼働実績データの配賦状況を可視化し、どこを運用改善で、どこをシステム化すべきかを一緒に整理できます。

自社で始める3ステップ — 稼働実績の棚卸しから週次配賦まで

案件別原価の見える化は、直近の稼働実績を技術者別に棚卸しし、技術者コードと案件コードを統一してから週次で配賦するルーチンをつくることが最短ルートです。

デスクで稼働実績表とノートPCを並べて技術者別の稼働状況を棚卸ししている手元の様子 直近3ヶ月の稼働実績の棚卸しから、技術者コード×案件コードの統一へ

  1. 直近3ヶ月分の技術者別の稼働実績(案件ごとの工数・待機期間)を洗い出し、案件コードが統一されていない箇所を特定する
  2. 全技術者に技術者コード、全案件と待機期間に案件コード(非稼働コードを含む)を発番し、週次の稼働実績入力フォームに必須項目として組み込む
  3. 週次で「稼働率×人件費原価」の配賦計算を回し、案件別の粗利率が目標水準を下回った案件だけを経営層でレビューする

この3ステップを回し始めると、どの案件の粗利率が実際には低いのか、待機期間がどれだけ利益を圧迫しているのかが具体的な数字で見えるようになります。技術者数や案件数が増えて、エクセルの運用だけでは限界を感じ始めたら、初月無料の経営AI診断(通常30万円相当)で自社の稼働実績データに合わせた次の一手を相談できます。

まとめ

IT・SES企業の案件別原価管理は、技術者コードと案件コードの2軸を週次の稼働実績表に固定し、稼働率に応じて人件費原価を配賦することが出発点です。エクセルでも型を作れば運用は始められますが、掛け持ち案件や待機期間が増えるほど手作業の按分は限界に近づきます。自社の稼働配賦がどこまで運用でカバーできるか判断に迷ったら、初月無料の経営AI診断(通常30万円相当)で稼働実績データの配賦状況を可視化し、改善提案までご一緒します。

会議室で経営者と技術者稼働状況を確認しながら打ち合わせをしている場面 案件別の粗利率が目標を下回った案件だけを経営層でレビューする

よくある質問

SES企業の案件別原価管理はエクセルでどこまで対応できますか

技術者数が10名前後、案件数が5〜10件程度で、掛け持ちが少なければ、技術者コード×案件コードを軸にした週次稼働実績表をエクセルで運用できます。技術者数が増え、複数案件の掛け持ちが常態化すると、按分計算の入力負荷と入力漏れのリスクが増え、手作業では追いつかなくなっていきます。

技術者が複数案件を掛け持ちする場合の原価配賦はどう計算しますか

人件費原価(給与・社会保険料等の会社負担コスト)を、各案件への実稼働率で按分します。たとえば人件費原価68万円の技術者が案件Xに60%、案件Yに40%稼働した場合、案件Xへの原価配賦は68万円×60%=40.8万円、案件Yへの原価配賦は68万円×40%=27.2万円になります。

待機期間(アサインされていない期間)の人件費はどう扱えばよいですか

待機期間専用の「非稼働コード」を案件コードと同じ枠で発番し、稼働実績表に明示的に記録することをおすすめします。待機期間の人件費を一般管理費に紛れ込ませたままにすると、案件別の粗利は実態より良く見え、会社全体の利益率が静かに削られていることに気づきにくくなります。

原価管理をシステム化する目安のタイミングはいつですか

技術者コード・案件コードの入力漏れや週次配賦の計算修正が月に数時間を超えて発生し始めたら、エクセルの運用改善だけでは吸収しきれなくなっているサインです。技術者数や掛け持ち案件が増える前に、自社の稼働実績データに合わせたシステム化の要否を診断で整理しておくと、後からの移行判断がしやすくなります。

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よくある質問

Q. SES企業の案件別原価管理はエクセルでどこまで対応できますか
A. 技術者数が10名前後、案件数が5〜10件程度で、掛け持ちが少なければ、技術者コード×案件コードを軸にした週次稼働実績表をエクセルで運用できます。技術者数が増え、複数案件の掛け持ちが常態化すると、按分計算の入力負荷と入力漏れのリスクが増え、手作業では追いつかなくなっていきます。
Q. 技術者が複数案件を掛け持ちする場合の原価配賦はどう計算しますか
A. 人件費原価(給与・社会保険料等の会社負担コスト)を、各案件への実稼働率で按分します。たとえば人件費原価68万円の技術者が案件Xに60%、案件Yに40%稼働した場合、案件Xへの原価配賦は68万円×60%=40.8万円、案件Yへの原価配賦は68万円×40%=27.2万円になります。
Q. 待機期間(アサインされていない期間)の人件費はどう扱えばよいですか
A. 待機期間専用の「非稼働コード」を案件コードと同じ枠で発番し、稼働実績表に明示的に記録することをおすすめします。待機期間の人件費を一般管理費に紛れ込ませたままにすると、案件別の粗利は実態より良く見え、会社全体の利益率が静かに削られていることに気づきにくくなります。
Q. 原価管理をシステム化する目安のタイミングはいつですか
A. 技術者コード・案件コードの入力漏れや週次配賦の計算修正が月に数時間を超えて発生し始めたら、エクセルの運用改善だけでは吸収しきれなくなっているサインです。技術者数や掛け持ち案件が増える前に、自社の稼働実績データに合わせたシステム化の要否を診断で整理しておくと、後からの移行判断がしやすくなります。

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