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中小企業診断士事務所の案件別工数管理と収支把握をエクセルで行う限界と実務

中小企業診断士事務所の案件別工数管理と収支把握をエクセルで行う限界と実務

顧問契約型のコンサル案件と着手金・成功報酬型の補助金支援案件が混在すると、エクセルの一括管理では案件別の実際の採算が見えなくなります。

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中小企業診断士事務所の案件別工数管理と収支把握をエクセルで行う限界と実務

顧問契約型のコンサル案件と着手金・成功報酬型の補助金支援案件が混在すると、エクセルの一括管理では案件別の実際の採算が見えなくなります。

顧問先を10社、20社と抱える中小企業診断士事務所であれば、経営改善計画の策定支援や経営革新計画の伴走といった顧問契約型のコンサルティングと、持続化補助金や事業再構築補助金などの申請支援をあわせて受けている事務所は少なくありません。案件ごとの請求額や入金状況をエクセルで一覧管理すること自体は、多くの事務所がすでに行っています。問題は「その案件にどれだけの時間を投下したか」まで紐付けて、案件別の実際の採算を出せているかどうかです。この記事では、診断士事務所の案件別工数・収支管理をエクセルでどこまで運用でき、どこから崩れやすくなるかを整理します。

診断士事務所の机に複数案件のファイルとエクセル帳票、付箋が積み重なる様子を俯瞰で描いた概念イラスト 複数案件のファイルとエクセル帳票、付箋が机の上に積み重なる様子を象徴するイメージ

診断士事務所の案件別収支管理は「一覧表」までならエクセルで十分に回る

案件名・報酬形態・請求額・入金状況を1行1件で並べる一覧表までは、エクセルで無理なく運用できます。

毎月定額の顧問契約帳票と着手金・成功報酬の補助金支援帳票の見た目の違いを示す概念イラスト 報酬の入り方が違う案件が同じ一覧表に並ぶところから、収支管理の難しさが始まる

案件別収支管理の土台になるのは、案件名・クライアント名・報酬形態(毎月定額の顧問契約か、着手金+成功報酬のスポット案件か)・請求額・入金状況・担当診断士を1行1件で並べた一覧表です。実際に同時進行案件が10件前後までの事務所であれば、この一覧表とフィルタ機能だけで「今どの案件からいくら入金される予定か」は十分に把握できています。ここまでの段階でつまずく事務所はそれほど多くありません。

問題は一覧表の先です。請求額と入金状況を並べているだけでは、その案件にどれだけの時間を投下したかまでは分かりません。投下時間が分からなければ、請求額から時間コストを差し引いた「実際の粗利」は計算できず、一覧表は「入金管理表」止まりで「収支管理表」にはなっていない、という状態になりがちです。

案件別の原価は「投下時間×人件費原価」の掛け算で決まる

診断士事務所の原価はほぼ人件費そのものなので、案件別の原価は担当診断士の投下時間に人件費原価の時間単価をかけて算出します。

人件費原価48万円を稼働時間160時間で割って時間単価原価3,000円を算出する式を示す図 時間単価原価が分かれば、投下時間をかけるだけで案件別の原価が出せる

製造業であれば原価は材料費・労務費・経費に分けて積み上げますが、コンサルティングを主業務とする診断士事務所の原価はほぼ人件費そのものです。診断士本人やスタッフに支払う給与・社会保険料などの会社負担コストをどの案件にどれだけ配賦するかで、案件別の粗利は大きく変わります。

具体的な数字で見てみます。ある診断士の人件費原価(給与に社会保険料等の会社負担分を加えた金額)が月48万円だとします。月間の稼働時間を160時間とすると、時間単価原価は48万円÷160時間=3,000円/時間になります。この時間単価に、案件ごとに記録した投下時間をかければ、案件別の原価が算出できます。この前提と計算は、自社の人件費原価や稼働時間に置き換えて電卓で検算できます。

顧問型と補助金支援型で報酬の入り方が違うことが、収支把握をさらに難しくする

毎月定額で入金される顧問契約型と、着手金の入金後に数ヶ月遅れて成功報酬が入る補助金支援型が混在すると、単月の請求額だけを見て採算を判断できません。

案件P・案件Q・案件Rの粗利率40%・10%・14.3%の違いを示す棒グラフ 同じ時間単価原価でも、報酬形態と投下時間の組み合わせで粗利率は大きく変わる

診断士事務所が扱う案件は、大きく二つの報酬パターンに分かれます。月次の経営相談や経営計画のモニタリングのような顧問契約型は、毎月ほぼ定額の報酬が入ります。一方、持続化補助金や事業再構築補助金などの申請支援は、契約時に着手金の一部が入り、採択後の実績報告を経て残りの成功報酬が入金されるまで数ヶ月かかることが一般的です。この二つが同じ月の収支表に混在すると、着手金だけが計上されている月の補助金支援案件は実態より薄利に見え、逆に成功報酬が入金された月は実態より好採算に見えてしまいます。

前提を置いて考えてみます。ある月、担当診断士が案件P(経営改善計画の顧問支援、月額報酬30万円)に60時間、案件Q(持続化補助金の申請支援、この月は着手金10万円のみ計上)に30時間、案件R(経営革新計画の伴走、月額顧問7万円)に20時間を投下したとします。時間単価原価3,000円で計算すると、案件Pの原価は60時間×3,000円=18万円、粗利は30万円-18万円=12万円(粗利率40%)。案件Qの原価は30時間×3,000円=9万円、粗利は10万円-9万円=1万円(粗利率10%)。案件Rの原価は20時間×3,000円=6万円、粗利は7万円-6万円=1万円(粗利率14.3%)。合計すると、投下時間110時間・原価33万円・報酬合計47万円・粗利14万円ですが、これは新規開拓や事務所運営に使った残り50時間分の原価(50時間×3,000円=15万円)を含めていません。この非稼働時間の原価まで足すと、この設例での当月の全社原価は48万円となり、報酬合計47万円を上回って赤字になります。案件ごとの請求額だけを並べた一覧表では、この赤字は見えてきません。

私たちが中小企業診断士事務所のAI活用・業務効率化のご相談を受けてきた中で、複数の事務所に共通して見られたのが、まさにこの「請求額は案件別に管理しているのに、投下時間は記録していない」状態でした。着手金だけが計上される月の補助金支援案件が実態より薄利に見えていることに気づかず、繁忙期の案件配分を感覚で決め続けているケースが目立ちます。

対策 — 案件コードと週次の投下時間ログを軸にした管理へ設計し直す

対策の起点は、全案件に案件コードを発番し、週次で投下時間を記録する運用に変えて、報酬形態が違う案件も同じ土台で比較できるようにすることです。

案件コードを軸に週次投下時間ログと入金見込み・実績が案件別原価集計に集約される様子を示す図 週次の投下時間ログと入金の見込み・実績を、案件コードという共通キーに集約する

まず、顧問契約型・補助金支援型を問わず全案件に一意の案件コードを発番し、週次の投下時間入力を必須にします。月末にまとめて入力すると記憶が曖昧になり実態と乖離しますが、週次であれば「今週は案件Pに3日、案件Qの資料作成に1日」という粒度で記録でき、按分の精度が上がります。

次に、補助金支援型の案件は、着手金・成功報酬それぞれの入金予定額を発生時点の「見込み」として一覧表に計上し、実際の入金が確定した時点で「実績」に差し替える2段階の管理にします。こうすることで、入金のタイムラグがあっても、その時点の見込み採算を常に把握できます。ここまではエクセルの運用ルール変更で対応できますが、担当案件数や兼任するスタッフが増えるほど、コードの入力漏れや投下時間の集計は手作業だけでは追いつかなくなります。自社の案件別工数・収支データの管理状況がどこまで運用でカバーできるか判断に迷ったら、無料の経営AI診断で現状を可視化し、どこを運用改善で、どこをシステム化すべきかを一緒に整理できます。

自社で始める3ステップ — 棚卸しから週次モニタリングまで

案件別採算の見える化は、直近案件の投下時間を棚卸しし、案件コードを統一してから週次で記録するルーチンをつくることが最短ルートです。

デスクで案件一覧表とノートPCを見比べながら棚卸し作業をしている手元の様子 直近案件の棚卸しから、案件コード統一・週次記録のルーチンへ

  1. 直近3ヶ月で扱った案件を洗い出し、案件ごとの請求額・入金状況・担当診断士の投下時間(分かる範囲でよい)を一覧表に棚卸しする
  2. 顧問契約型・補助金支援型を問わず全案件に案件コードを発番し、週次の投下時間入力フォームに必須項目として組み込む
  3. 月次で「投下時間×人件費原価」の案件別原価を算出し、粗利率が薄い案件や非稼働時間の割合だけを所長がレビューする

この3ステップを回し始めると、どの案件の採算が実際には薄いのか、非稼働時間がどれだけ利益を圧迫しているのかが具体的な数字で見えるようになります。掛け持ち案件が増えて、エクセルの運用だけでは限界を感じ始めたら、初月無料の経営AI診断(通常30万円相当)で自社の投下時間・収支データに合わせた次の一手を相談できます。

まとめ

診断士事務所の案件別収支管理は、案件コードを軸に投下時間を週次で記録し、時間単価原価をかけて案件別の原価を算出することが出発点です。エクセルでも型を作れば運用は始められますが、顧問型と補助金支援型で報酬の入り方が違う案件が増えるほど、手作業での按分は限界に近づきます。自社の案件別工数・収支管理がどこまで運用でカバーできるか判断に迷ったら、初月無料の経営AI診断(通常30万円相当)で投下時間・収支データの管理状況を可視化し、改善提案までご一緒します。

よくある質問

中小企業診断士事務所の案件別収支管理はエクセルでどこまで対応できますか

同時進行の案件が10件前後で、担当診断士が少なければ、案件コードを軸にした週次の投下時間ログと月次の原価算出をエクセルで運用できます。案件数が増え、掛け持ちや補助金支援案件の入金タイムラグが重なり始めると、手作業の集計では追いつかなくなっていきます。

顧問契約型のコンサル案件と補助金支援案件で収支管理の考え方はどう変えればよいですか

顧問契約型は毎月ほぼ定額の報酬が入るため、月次の投下時間と原価を単純に突き合わせれば粗利が分かります。補助金支援案件は着手金と成功報酬が別のタイミングで入金されるため、入金予定額を「見込み」として計上し、実際の入金が確定した段階で「実績」に差し替える2段階の管理が必要です。

複数の診断士や補助スタッフが案件を掛け持ちする場合、投下時間の按分はどう考えればよいですか

日次で分単位まで厳密に記録する必要はありませんが、週次で「どの案件にどれくらいの時間を使ったか」を本人が記録し、月末にまとめて自己申告する運用は誤差が蓄積しやすい方法です。週次で記録を積み上げる運用に変えるだけでも、案件別原価の精度は大きく改善します。

案件別収支管理をエクセルからシステム化する目安のタイミングはいつですか

案件コードの入力漏れや週次の投下時間集計が月に数時間を超えて負担になり始めたら、エクセルの運用改善だけでは吸収しきれなくなっているサインです。案件数や兼任スタッフが増える前に、自社のデータに合わせたシステム化の要否を診断で整理しておくと、後からの移行判断がしやすくなります。

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よくある質問

Q. 中小企業診断士事務所の案件別収支管理はエクセルでどこまで対応できますか
A. 同時進行の案件が10件前後で、担当診断士が少なければ、案件コードを軸にした週次の投下時間ログと月次の原価算出をエクセルで運用できます。案件数が増え、掛け持ちや補助金支援案件の入金タイムラグが重なり始めると、手作業の集計では追いつかなくなっていきます。
Q. 顧問契約型のコンサル案件と補助金支援案件で収支管理の考え方はどう変えればよいですか
A. 顧問契約型は毎月ほぼ定額の報酬が入るため、月次の投下時間と原価を単純に突き合わせれば粗利が分かります。補助金支援案件は着手金と成功報酬が別のタイミングで入金されるため、入金予定額を「見込み」として計上し、実際の入金が確定した段階で「実績」に差し替える2段階の管理が必要です。
Q. 複数の診断士や補助スタッフが案件を掛け持ちする場合、投下時間の按分はどう考えればよいですか
A. 日次で分単位まで厳密に記録する必要はありませんが、週次で「どの案件にどれくらいの時間を使ったか」を本人が記録し、月末にまとめて自己申告する運用は誤差が蓄積しやすい方法です。週次で記録を積み上げる運用に変えるだけでも、案件別原価の精度は大きく改善します。
Q. 案件別収支管理をエクセルからシステム化する目安のタイミングはいつですか
A. 案件コードの入力漏れや週次の投下時間集計が月に数時間を超えて負担になり始めたら、エクセルの運用改善だけでは吸収しきれなくなっているサインです。案件数や兼任スタッフが増える前に、自社のデータに合わせたシステム化の要否を診断で整理しておくと、後からの移行判断がしやすくなります。

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