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ホテル・旅館の客室稼働率別収益管理をエクセルで行う限界とRevPARの活用法

ホテル・旅館の客室稼働率別収益管理をエクセルで行う限界とRevPARの活用法

客室稼働率と単価が連動するホテル業の収益管理はエクセルの手作業では限界が来る。RevPARと損益分岐稼働率で判断する方法を解説する。

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ホテル・旅館の客室稼働率別収益管理をエクセルで行う限界とRevPARの活用法

客室稼働率と単価が連動するホテル業の収益管理はエクセルの手作業では限界が来る。RevPARと損益分岐稼働率で判断する方法を実務の視点で解説する。

「稼働率は上がっているのに、なぜか手元に残る利益が増えない」――客室稼働率と単価をエクセルで管理しているホテル・旅館の経営者・支配人から、よく受ける相談です。予約管理システムの選び方(ホテルの予約管理システムの選び方 脱エクセルと宿泊業の業務フロー設計)は「予約をどう受けるか」の話ですが、本記事はその先の「稼働率と単価の掛け合わせで収益がどう決まり、どこで管理が崩れるか」というレベニューマネジメントの視点を扱います。ホテル業は客室稼働率だけでも客室単価だけでも収益の実態がつかめず、両者を掛け合わせたRevPAR(Revenue Per Available Room)という指標で見て初めて、単価変動が効いているのか稼働率変動が効いているのかが切り分けられます。本記事では、稼働率別収益管理をエクセルで組む基本形から、限界が来る構造、脱エクセルの進め方までを整理します。

ホテルのフロント帳票と客室稼働率のグラフが並ぶ様子を俯瞰で描いた概念イメージ

客室稼働率別収益管理をエクセルで組む基本形

客室別収益は「客室単価×稼働室数-変動費-固定費按分=収益」という1行のモデルで組むのが基本形です。ここに客室単価×稼働率で算出するRevPARを加えると、単価と稼働率のどちらが収益を動かしているかが数字で見えるようになります。

例えば30室のホテルで、平日は客室単価12,000円・稼働率50%(稼働室数15室)とします。売上は15室×12,000円=180,000円です。変動費は清掃費1,500円とアメニティ500円の合計2,000円が稼働室数分発生し、15室×2,000円=30,000円。固定費は人件費・水道光熱費・減価償却の日割り按分で90,000円(稼働率にかかわらず一定)とすると、原価合計は30,000円+90,000円=120,000円、収益は180,000円-120,000円=60,000円、収益率は60,000円÷180,000円=約33.3%です。このときのRevPARは12,000円×0.5=6,000円になります。

週末は需要が高まるため単価を18,000円に引き上げ、稼働率が90%(稼働室数27室)まで上がったとします。売上は27室×18,000円=486,000円、変動費は27室×2,000円=54,000円、固定費は同額の90,000円で、原価合計は144,000円、収益は486,000円-144,000円=342,000円、収益率は342,000円÷486,000円=約70.4%まで上がります。このときのRevPARは18,000円×0.9=16,200円で、平日の6,000円から2.7倍に伸びています。多くのホテル・旅館では、この単価と稼働率の掛け合わせをフロント日報や予約台帳をもとに月末にまとめて計算しており、日次でのRevPAR把握までは手が回っていません。

客室単価×稼働率-変動費-固定費按分=収益とRevPARの計算モデル(平日と週末の比較)

なぜ限界が来るのか:単価と稼働率が同時に動く構造特有の3つの壁

限界が来るのは「エクセルの機能不足」ではなく、「単価変動の反映タイムラグ」「稼働率×単価マトリクスの属人化」「固定費按分の見えない化」という3つの壁が、料金プランとチャネル数の増加とともに重なるからです。

客室単価はOTA(予約サイト)・自社サイト・電話予約でそれぞれ変動し、繁閑に応じて日々改定されます。この単価改定をエクセルに反映するのが翌日以降になると、当日の客室稼働率と単価を突き合わせた「今この瞬間の収益率」が見えないまま、次の単価判断をしてしまいます。実際にホテル・旅館の収益管理表を見せてもらうと、チャネル別の単価をエクセルに転記するだけで担当者が毎日30分〜1時間かかっているケースがよくあり、その間に本来やりたい「稼働率が落ちている曜日の単価を下げて埋める」判断が後手に回っています。

さらに稼働率×単価のマトリクス(曜日別・季節別・プラン別の単価表)は、特定の担当者のエクセルシートに数式が直書きされ、他の人には再現できない状態になりがちです。加えて固定費按分(人件費・水道光熱費・減価償却)は稼働率にかかわらず毎日ほぼ同額発生するという構造そのものが見落とされ、「稼働率が下がっている=機会損失」としか捉えられず、「稼働率が下がっている=固定費の負担が1室あたり重くなっている」という視点が抜け落ちてしまいます。

単価変動の反映タイムラグ・稼働率×単価マトリクスの属人化・固定費按分の見えない化という3つの壁を示す概念イメージ

限界のサイン:客室稼働率別収益が崩れ始める3つの兆候

「単価と稼働率の集計が翌日以降にしか出ない」「曜日別・プラン別の単価改定が担当者の感覚値になっている」「稼働率30%台の日を毎月なんとなく見過ごしている」の3つが揃ったら、客室稼働率別収益管理が構造的な限界に近づいているサインです。

先ほどの平日の例で、単価改定が間に合わず客室単価12,000円のまま稼働率が50%から30%(9室)に落ちた場合を計算してみます。売上は9室×12,000円=108,000円、変動費は9室×2,000円=18,000円、固定費は同額の90,000円が発生し、原価合計は108,000円、収益は108,000円-108,000円=0円まで落ち込みます。稼働率が20ポイント下がっただけで収益がゼロに近づく――これが損益分岐稼働率を下回った状態です。

損益分岐稼働率(固定費按分額÷(客室単価-変動費)÷総客室数)で確認すると、90,000円÷(12,000円-2,000円)÷30室=90,000円÷10,000円÷30室=0.3、つまり30%です。稼働率がこの水準を下回ると、客室を稼働させていても固定費を回収できず収益がゼロに近づきます。この指標を持っておけば、閑散期に単価を下げてでも稼働率を確保すべきか、休館日を設定して固定費そのものを圧縮すべきかを、感覚でなく数字で判断できます。

稼働率50%と30%の収益比較(ゼロ収益への急落)と損益分岐稼働率30%の算出イメージ

脱エクセルの進め方:稼働率と単価を同じ台帳で日次管理する仕組み化

最大の失敗パターンは、稼働率の集計と単価改定を別々のエクセルファイルで管理したまま、いきなり高額なレベニューマネジメントシステムに全面移行しようとして頓挫することです。エクセルはフロント日報や予約台帳で使われ続けているため、段階的に剥がすのが鉄則です。

STEP1: 損益分岐稼働率の言語化(1か月)。固定費按分額と変動費を洗い出し、損益分岐稼働率を算出する列をエクセルに1つ追加します。これだけで「なんとなく見過ごしている低稼働日」が数字で見えるようになります。

STEP2: RevPARの日次集計への切り替え(2〜3か月)。月末一括ではなく、フロント日報から日次でRevPAR(客室単価×稼働率)を拾い上げる運用に切り替えます。集計の粒度を上げるだけで、単価改定が収益に効いているのか稼働率の変化が効いているのかを早めに切り分けられるようになります。

STEP3: チャネル別単価データとPMS(宿泊管理システム)の連携(継続的に検討)。STEP1・2で土台が整った段階で、OTA・自社サイトのチャネル別単価をPMSやレベニューマネジメントツールと連携し、単価改定の反映タイムラグそのものをなくす検討に入ります。予約導線の見直しが必要な場合は予約管理システムの選び方の記事も参考になりますが、自社のどの工程から手をつけるべきか判断に迷う場合は、初月無料の経営AI診断(通常30万円相当)でRevPARの集計工数と単価改定のボトルネックを可視化し、優先順位を一緒に整理することもできます。

損益分岐稼働率の言語化・RevPARの日次集計・チャネル別単価データとPMSの連携という脱エクセルの3ステップ

自社に当てはめる判断基準と次の一歩

「そろそろ仕組み化すべきか」を感覚ではなく数字で切り分けるには、次の指標のうち2つ以上が該当するかを確認します。

判断指標検討フェーズの目安
客室数20室以上
稼働率・単価集計にかかる時間翌日以降にしか出せない
損益分岐稼働率を下回る日数月5日以上
料金プラン・チャネル数4パターン以上
単価・稼働率の集計に関わる担当者数2人以上でファイルを受け渡し

例えば「客室数35室・単価集計が翌日・損益分岐割れが月8日・料金プラン5種」という状態なら、5つの指標のうち4つが目安を超えており、仕組み化によって集計工数削減と単価改定の精度の両面でROIが立ちやすい段階です。逆に「客室数12室・当日中に集計完了・損益分岐割れゼロ日」であれば、まだエクセルで十分に回せる規模であり、投資は時期尚早と見てよいでしょう。判断に迷う場合は、初月無料の経営AI診断(通常30万円相当)で自社の客室稼働率別収益構造を一緒に可視化するところから始められます。

経営者が客室稼働率別収益表を見ながら仕組み化の判断を検討している場面

まとめ:脱エクセルはRevPARと損益分岐稼働率の言語化から始める

ホテル・旅館の客室稼働率別収益管理をエクセルで回す限界は、単価変動の反映タイムラグ・稼働率×単価マトリクスの属人化・固定費按分の見えない化という3つの壁が重なるところに来ます。予約導線の設計(予約管理システムの選び方)とは異なり、本記事で扱ったのは「稼働率と単価をどう掛け合わせて収益を見るか」というレベニューマネジメントの視点です。RevPARと損益分岐稼働率という2つの指標を持てば、単価変動と稼働率変動のどちらが収益に効いているかを数字で切り分けられます。一気に全置換を狙わず、損益分岐稼働率の言語化から始めて、RevPARの集計粒度を上げていけば、日々のフロント業務を止めずに収益管理の精度を取り戻せます。自社がどの段階にいるか判断に迷ったら、初月無料の経営AI診断(通常30万円相当)で現状の客室稼働率別収益構造を可視化するところから始めてみてください。

よくある質問

RevPAR(レブパー)とは何ですか、どう計算しますか?

RevPARは「販売可能な客室1室あたりの収益」を示す指標で、客室単価(ADR)×客室稼働率で計算します。ADRだけを見ると単価は上がっていても稼働室数が減っていれば収益は落ちていることがあり、稼働率だけを見ても単価が下がっていれば同じことが起きます。両方を掛け合わせたRevPARを追うことで、単価変動と稼働率変動を切り分けずに収益の実態を1つの数字で把握できます。

損益分岐稼働率はどう計算すればいいですか?

損益分岐稼働率=固定費按分額÷(客室単価-変動費)÷総客室数で計算します。固定費は稼働率にかかわらず毎日ほぼ同額発生するため、稼働率がこの水準を下回ると、客室を稼働させていても固定費を回収できず利益がゼロに近づきます。この数字を持っておくと、閑散期の値下げ判断や休館日の設定を感覚でなく数字で決められます。

エクセルで稼働率別収益管理をする場合、最低限何を記録すべきですか?

日付・稼働室数・客室単価(チャネル別平均)・変動費・固定費按分額の5項目を1行にまとめるのが最低限の形です。ここにRevPARと損益分岐稼働率を算出する列を2つ足すだけで、単価変動と稼働率変動のどちらが収益に効いているかを日次で追えるようになります。

何室くらいの規模から脱エクセルを検討すべきですか?

目安は客室数20室以上・稼働率と単価の集計が翌日以降にしか出せない状態です。料金プランやOTA・自社サイトなどのチャネルが増えるほど単価の反映パターンが増え、エクセルの手作業では当日中に収益の実態を追いにくくなります。この規模を超えたら仕組み化の検討フェーズに入ってよいタイミングです。

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よくある質問

Q. RevPAR(レブパー)とは何ですか、どう計算しますか?
A. RevPARは「販売可能な客室1室あたりの収益」を示す指標で、客室単価(ADR)×客室稼働率で計算します。ADRだけを見ると単価は上がっていても稼働室数が減っていれば収益は落ちていることがあり、稼働率だけを見ても単価が下がっていれば同じことが起きます。両方を掛け合わせたRevPARを追うことで、単価変動と稼働率変動を切り分けずに収益の実態を1つの数字で把握できます。
Q. 損益分岐稼働率はどう計算すればいいですか?
A. 損益分岐稼働率=固定費按分額÷(客室単価-変動費)÷総客室数で計算します。固定費は稼働率にかかわらず毎日ほぼ同額発生するため、稼働率がこの水準を下回ると、客室を稼働させていても固定費を回収できず利益がゼロに近づきます。この数字を持っておくと、閑散期の値下げ判断や休館日の設定を感覚でなく数字で決められます。
Q. エクセルで稼働率別収益管理をする場合、最低限何を記録すべきですか?
A. 日付・稼働室数・客室単価(チャネル別平均)・変動費・固定費按分額の5項目を1行にまとめるのが最低限の形です。ここにRevPARと損益分岐稼働率を算出する列を2つ足すだけで、単価変動と稼働率変動のどちらが収益に効いているかを日次で追えるようになります。
Q. 何室くらいの規模から脱エクセルを検討すべきですか?
A. 目安は客室数20室以上・稼働率と単価の集計が翌日以降にしか出せない状態です。料金プランやOTA・自社サイトなどのチャネルが増えるほど単価の反映パターンが増え、エクセルの手作業では当日中に収益の実態を追いにくくなります。この規模を超えたら仕組み化の検討フェーズに入ってよいタイミングです。

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