
SKU別の粗利は仕入原価だけでは正確に出ません。送料と手数料の按分を誤ると黒字と赤字が入れ替わる実務の落とし穴と対策を解説します。
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目次
ネット通販のSKU別原価・粗利管理をエクセルで行う限界と送料按分の実務
SKU別の粗利は、仕入原価だけでなく送料と手数料をどう紐づけるかで数字が変わる
SKU別の粗利は「原価3要素をどこまで紐づけるか」で決まる
SKU別の粗利は、仕入原価だけでなく送料・手数料までSKUに正しく紐づけて初めて実態が見えます。
仕入原価・送料・手数料の3要素をSKUごとに積み上げて初めて実態粗利になる
ネット通販の粗利管理をエクセルで始めるとき、多くの事業者はまず「仕入原価」をSKUごとに入力するところから手を付けます。仕入原価表はメーカーや卸からの請求書に基づいて作れるため、比較的早く整備できます。しかし販売価格から仕入原価を引いただけの数字を「粗利」として扱っていると、実際にはSKUごとに大きく変わる送料と販売手数料が抜け落ち、見た目の粗利と手元に残る利益がズレていきます。
SKU別の実態粗利は、①仕入原価、②配送する重量帯ごとの実送料、③モールやカートシステムの販売手数料の3要素を積み上げて初めて正確になります。仕入原価だけを管理しているエクセルは、この3要素のうち1つしか見ていない状態です。特に送料は商品の重量・サイズによってSKUごとに数百円単位で変わるため、ここを一律の平均値で片付けてしまうと、粗利率の高いSKUと低いSKUが入れ替わって見えることがあります。
なぜ送料の一律按分がSKU別粗利を歪めるのか
送料を全SKU平均で按分すると、軽い商品は実態より薄利に、重い商品は実態より黒字に見えます。
送料を一律平均値で扱うと、重量帯によって粗利率の見え方が実態からズレる
送料は配送業者との契約上、重量帯(例えば〜1kg・1〜2kg・2〜5kgなど)で運賃が段階的に決まっています。ところが多くのエクセル管理では「全SKUの送料実績を月末に合計し、出荷件数で割った平均送料」を全SKUに一律で当てはめています。この処理は月次の総コストを把握するには便利ですが、SKU別の粗利を見るときには問題を起こします。実際の重量帯より重い平均送料を当てはめられた軽量SKUは粗利が実態より低く見え、逆に実際の重量帯より軽い平均送料を当てはめられた重量級SKUは粗利が実態より高く見えてしまうためです。
同様の歪みは販売手数料でも起きます。自社ECサイト・楽天・Amazonなど複数の販路を併用している事業者では、販路ごとに手数料率が異なるうえ、キャンペーンやポイント原資の負担割合も変わります。手数料率をSKUや販路で分けずに「全社共通10%」のような概算で計算していると、手数料率の高い販路で売れているSKUの粗利が実態より高く出てしまい、どのSKU・どの販路に注力すべきかの判断を誤らせます。
数値で見るSKU別粗利のズレ|見た目黒字が実は赤字だったケース
実重量帯の送料に置き換えるだけで、黒字だと思っていたSKUの粗利がマイナスに転じることがあります。
一律750円の平均送料と、実重量帯の送料で計算し直した粗利の差
具体的な数字で見ると、このズレの大きさが分かります。ある通販事業者が「全SKU平均750円」の送料を一律で使っていたケースを例にします。手数料率は販路共通で10%と仮定します。
| SKU | 売価 | 仕入原価 | 手数料(10%) | 送料 | 粗利 | 粗利率 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| SKU-C(一律750円想定) | 2,980円 | 1,050円 | 298円 | 750円 | 882円 | 29.6% |
| SKU-C(実重量帯980円) | 2,980円 | 1,050円 | 298円 | 980円 | 652円 | 21.9% |
| SKU-D(一律750円想定) | 1,480円 | 420円 | 148円 | 750円 | 162円 | 10.9% |
| SKU-D(実重量帯980円) | 1,480円 | 420円 | 148円 | 980円 | -68円 | -4.6% |
SKU-Cは箱が大きく実際の重量帯では送料980円がかかる商品ですが、一律750円で計算すると粗利率29.6%という数字が出ます。実際の送料に置き換えると粗利率は21.9%まで下がり、思っていたより薄利だったことが分かります。さらに深刻なのはSKU-Dです。売価1,480円の小型商品ですが、梱包資材の関係で実際は重量帯980円の区分に入っており、一律750円で計算すると粗利率10.9%の黒字に見えていたものが、実送料に置き換えると粗利率マイナス4.6%の赤字だったことが判明します。弊社が相談を受けた通販事業者でも、送料を重量帯別の実費に置き換えて計算し直しただけで、黒字だと思って主力扱いしていたSKUが実は出荷するほど赤字が積み上がるSKUだったと判明したケースがありました。
エクセルでSKU別原価・粗利を正しく計算する実装手順
SKUマスタ・重量帯別送料テーブル・粗利集計シートの3層構成にすると、送料按分のズレを防げます。
重量帯別の送料テーブルを1枚に集約し、集計シートは関数参照だけで構成する
送料と手数料のズレを防ぐ実装は、①SKUマスタ(SKUコード・商品名・仕入原価・重量帯区分)、②重量帯別送料テーブル(重量帯ごとの配送業者別実費)、③販路別手数料率テーブルを別シートに分け、粗利集計シートではこれらをVLOOKUPやXLOOKUP関数で参照して自動計算する3層構成が崩れにくい設計です。SKUマスタに「重量帯区分」の列を1つ持たせておけば、重量帯別送料テーブルの実費を引き当てるだけで、SKUごとに正しい送料が反映されます。
実務でよくある失敗は、SKUが増えるたびに粗利計算シートをコピーして手作業で数字を打ち込んでいく設計です。この方法は初期は早く作れますが、重量帯の区分や手数料率が変わるたびに全シートを1つずつ直す必要が生じ、どこか1枚だけ更新が漏れて数字が食い違う原因になります。重量帯別送料テーブルと販路別手数料率テーブルを1箇所に集約し、SKU別の粗利集計シートは関数参照だけで構成しておくと、テーブルの数字を直すだけで全SKUの粗利が正しく再計算されます。
SKU別管理の限界サインと移行の考え方
SKU数の増加・販路の複数展開・担当者交代が重なったら、エクセルのSKU別粗利管理は限界のサインです。
紐づけの考え方は同じでも、SKU数が増えるほど手計算での維持コストが跳ね上がる
ここまでの原価紐づけの考え方は、SKUが数十点のうちはエクセルでも十分に運用できます。限界のサインが出るのは、SKU数が数百点を超えて重量帯・販路・手数料率の組み合わせが複雑化したとき、担当者が変わるたびに按分ロジックの意図が引き継がれず数字が崩れるとき、月次の粗利集計に何日もかかるようになったときです。この段階になると、テーブルの更新自体は正しくても、参照漏れや入力ミスが積み重なり、SKU別の粗利がどこまで正確か自分たちでも自信が持てなくなっていきます。
自社のどのSKUで送料や手数料の按分がズレているか、どこまでを自動化すべきか判断に迷ったら、初月無料の経営AI診断(通常30万円相当)で現状のSKU別粗利管理フローを可視化し、改善提案までご一緒することもできます。まずは自社の主力SKUの送料が重量帯通りに反映されているかを確認するところから始めてみてください。
まとめ|SKU別原価の紐づけを固めてから自動化を検討する
SKU別の粗利管理は、仕入原価・送料・手数料の3要素をSKUごとに正しく紐づけることが土台です。送料を一律の平均値で按分している限り、軽いSKUは実態より薄利に、重いSKUは実態より黒字に見えるズレが残り続けます。重量帯別の送料テーブルと販路別の手数料率テーブルを1枚に集約し、粗利集計シートを関数参照だけで組めば、この土台はエクセルでも十分に実現できます。
SKU数や販路が増え、テーブルの更新が属人化してきたら、原価紐づけのロジックはそのままに、集計と更新の負荷を軽くする判断が視野に入ります。自社のSKU別粗利がどこでズレているか迷ったら、初月無料の経営AI診断(通常30万円相当)で社内の粗利管理プロセスを可視化し、改善提案までご一緒します。
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よくある質問
- Q. SKU別の原価にはどこまでの費用を含めればよいですか?
- A. 仕入原価だけでなく、配送する重量帯ごとの実送料、モールやカートシステムの販売手数料、梱包資材費までを含めて初めてSKU別の実態粗利になります。仕入原価しか見ていないと、送料負担の重いSKUの赤字を見逃しやすくなります。特に重量やサイズで送料が変わる商材を扱う通販事業者は、送料を一律の平均値で計算せず、重量帯ごとの実費をSKUに紐づけることが精度を左右します。
- Q. 送料をSKU別に正確に反映するにはどうすればいいですか?
- A. 商品の重量・サイズごとに配送業者の実際の運賃を重量帯テーブルとして整理し、SKUマスタに重量帯区分の列を持たせてVLOOKUPやXLOOKUP関数で参照する形にするのが実務的です。全SKUの送料を平均値で一律計算すると、軽い商品の粗利を実態より低く、重い商品の粗利を実態より高く見せてしまうため、重量帯別の実費に置き換えるだけで見え方が大きく変わります。
- Q. モールごとに手数料率が違う場合、エクセルでどう管理すればいいですか?
- A. 自社ECサイト・楽天・Amazonなど販路ごとに手数料率が異なる場合は、SKUマスタとは別に販路別の手数料率テーブルを用意し、SKUと販路の組み合わせで手数料額を自動計算する構成にします。手数料率をSKUごとに手入力すると更新漏れが起きやすいため、テーブルを1箇所に集約し関数で参照する設計にしておくと、手数料率が変わった際も1箇所の修正で全体に反映できます。
- Q. エクセルでのSKU別原価・粗利管理はいつ限界が来ますか?
- A. SKU数が数百点を超えて重量帯・手数料率の組み合わせが複雑化したとき、担当者が変わるたびに按分ロジックの意図が伝わらず崩れるとき、月次の粗利集計に何日もかかるようになったときが典型的な限界のサインです。この段階では、原価紐づけの考え方は変えずに、集計と更新の負荷だけを自動化する選択肢を検討する事業者が増えます。
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