
有価証券報告書の記載項目チェックは前年の使い回しでは対応できません。改正差分をClaude Codeで洗い出し、下書き時間を圧縮する手順を解説します。
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公認会計士事務所の有価証券報告書開示チェックリストをClaude Codeで効率化する方法
💡 ここがポイント
有価証券報告書等の開示書類は、記載すべき項目自体が毎年のように増減します。記載項目チェックリストの下書きはClaude Codeで圧縮できますが、記載内容の適正性の判断と監査意見の表明は、常に公認会計士本人が行います。
「去年のチェックリストを使い回せば大丈夫」。
そう思っている会計事務所は少なくありません。
しかし有価証券報告書等の開示府令は、重要な契約等の開示や政策保有株式の開示など、ここ数年でも記載項目そのものが追加・変更されています。
前年の目次をそのまま流用すると、今年新たに求められる記載項目が抜け落ちるリスクがあります。
本記事では、Claude Codeを使って有価証券報告書等の開示書類の記載項目チェックリストの下書き作成を効率化する具体的な手順と、公認会計士法上どこまでをAIに任せてよいかの線引きを解説します。
有価証券報告書の記載項目チェックは、前年の使い回しでは改正差分を拾いきれない
有価証券報告書の記載項目チェックが公認会計士事務所の負担になっている理由
💡 ここがポイント
負担の正体は「開示府令がほぼ毎年改正される」ことと「今年どこが変わったかの把握が担当者の記憶に依存している」ことの2つです。
有価証券報告書等の開示書類は、事業の状況、経理の状況、コーポレート・ガバナンスの状況など、記載すべき区分が多岐にわたります。
さらに金融庁は毎年「有価証券報告書の作成・提出に際しての留意すべき事項等」を公表し、有価証券報告書レビューを実施しています。
近年でも重要な契約等の開示や政策保有株式の開示、サステナビリティに関する開示など、記載項目そのものが追加・拡充される改正が相次いでいます。
この改正差分を毎年ゼロから洗い出すのは、経験のある担当者でも骨が折れる作業です。
さらに厄介なのは、「今年は何が変わったか」の把握が、特定の担当者の記憶と情報収集にとどまりがちなことです。
言語化されていない改正差分は、他の職員に引き継げません。
結果として、決算期には特定の担当者が開示チェックのボトルネックになり、事務所が対応できるクライアント数の天井を決めてしまいます。
改正差分の把握が特定の担当者の記憶に依存している限り、開示チェックは属人化したままになる
Claude Codeで開示書類の記載項目チェックリストの下書きを作る具体的な手順
Claude Codeが効くのは、記載項目の候補出しと前年チェックリストとの突き合わせという、下準備の部分です。
自社で会計事務所向けの開示項目チェックリスト作成を検証したところ、前年の目次と最新の留意事項を手作業で突き合わせると90分程度かかっていた下準備が、Claude Codeにたたき台を作らせると20分程度に短縮されました。
上記の数値はあくまで自社検証時の目安であり、事務所やクライアントの規模によって変動します。
手順はシンプルです。
まず前年の有価証券報告書の目次構成と、金融庁が公表している留意事項の見出しなど、公開されている参考情報を渡します。
次に「前年の目次と今年の留意事項を比較し、新たに追加・変更された記載項目の候補を一覧にして」と指示します。
出てきた一覧を、事務所が使っている開示チェックリストのフォーマットに流し込み、様式を揃えます。
ここで渡す情報は、目次構成や公表済みの留意事項といった、すでに公開されている抽象化された情報だけにとどめます。
顧客の有価証券報告書のドラフトや決算数値そのもの、未公表の重要情報は入力しません。
自社のどの区分から着手すべきか迷う場合は、初月無料の経営AI診断(通常30万円相当)で、現状の開示チェック工程を可視化し、着手順序までご一緒に整理することができます。
Claude Codeが作った改正差分の初稿を、手元で事務所のチェックリスト様式に整えていく
Claude Codeに任せてよい範囲と公認会計士が必ず判断すべき範囲
お客様
「有価証券報告書の記載内容チェックにAIを使うのは、公認会計士法的に問題ないんですか」
佐々木
問題になるのは「AIに判断させる」ことです。記載項目チェックリストの下書きを作らせるだけなら、記載内容の適正性の判断や監査意見の表明という独占業務には踏み込みません。
公認会計士法が独占業務として定めているのは、財務書類の監査証明業務、つまり財務諸表の適正性を判断し意見を表明する行為そのものです。
さらに監査基準委員会報告書720は、監査人に対して、有価証券報告書等に含まれる財務諸表以外の「その他の記載内容」を通読し、監査した財務諸表と重要な相違がないかを検討する責任を求めています。
この通読・検討の判断そのものも、常に公認会計士本人が行う業務です。
Claude Codeで記載項目チェックリストの下書き・整理を効率化しても、その他の記載内容の通読・検討と最終的な意見表明は公認会計士本人が行う、という役割分担を事務所として明文化しておく必要があります。
工程を「準備」「実施」「判断」の3段階に分けると、AIに任せる範囲と人が担う範囲の境界がはっきりします。
| 段階 | 内容 | Claude Codeの関与 |
|---|---|---|
| 準備 | 記載項目候補のたたき台作成・前年チェックリストの整理・様式統一 | 下書き作成を支援 |
| 実施 | その他の記載内容の通読・財務諸表との整合性確認 | 関与しない |
| 判断 | 適正性の判断・監査意見の形成 | 関与しない |
任せてよい範囲は「候補出し」と「様式の統一」に限定し、任せてはいけない範囲は「通読・検討」と「意見の形成」だと事務所内で共有しておくと、AIの出力をそのまま提出してしまう事故を防げます。
有価証券報告書の記載項目チェックの3段階と、Claude Codeが関与できる範囲
Claude Codeの出力精度をどう検証するか
⚠️ 必ず確認してください
Claude Codeの出力は、必ず有資格者(公認会計士)が内容を検証してから記載項目チェックリストとして使用してください。生成AIは開示府令の直近の改正点を取り違えることがあり、そのまま採用すると開示不備のリスクになります。
生成AIは、一般論としての記載区分の枠組みは比較的正確に出力できます。
一方で、直近の開示府令改正の詳細や、事務所・クライアント固有の過去の指摘事項までは正確に反映できないことがあります。
そのため出力された記載項目チェックリストは、次の3点を人が必ず確認する運用にします。
第一に、当年の開示府令改正が反映されているか。
第二に、前期の指摘事項や訂正報告書の原因が反映されているか。
第三に、記載区分の候補に抜け漏れがないか。
この3点は、経験のある公認会計士であれば数分で確認できます。
ゼロから前年比較をするより、たたき台をチェックする方が圧倒的に速いというのが、実際に検証して感じた実感です。
「AIが拾った改正差分を確認する方が、留意事項を1から読み込むより速い。ただし確認せずそのまま出すのは怖い」(会計事務所所長へのヒアリングより)
たたき台の検証は、経験のある公認会計士なら数分で完了する
公認会計士事務所が導入する際の3ステップ
💡 ここがポイント
いきなり全区分に広げず、1つの区分だけで試し、削減時間を実測してから展開すると失敗しません。
ステップ1は、開示区分の1つに絞って試すことです。
コーポレート・ガバナンスの状況など、毎年見直しが入りやすい区分を選び、Claude Codeに記載項目チェックリストの下書きを作らせます。
かかった時間と、検証にかかった時間の両方を記録します。
ステップ2は、検証ルールを文書化することです。
「何を入力してよいか」「誰が最終確認するか」「未検証の下書きをどう表示するか」を1枚にまとめます。
ここを飛ばして職員に展開すると、確認を省略する職員が必ず出てきます。
ステップ3は、他の開示区分へ展開することです。
最初の1区分で効果が確認できたら、同じ手順を事業の状況や経理の状況など他の区分に広げます。
事務所全体で標準化すると、若手職員でも所長と近い水準のたたき台を作れるようになり、決算期のボトルネックが特定の担当者に集中しなくなります。
導入は1区分で試す→ルール文書化→展開、の3ステップで進める
まとめ
有価証券報告書等の開示書類の記載項目チェックは、Claude Codeで下書きの時間を大きく圧縮できる領域です。
ただし独占業務である財務諸表の適正性の判断・意見の形成、そして監査基準委員会報告書720が求めるその他の記載内容の通読・検討は、常に公認会計士本人が行うという前提を崩してはいけません。
任せてよいのは「候補出しと様式統一」まで、任せてはいけないのは「通読・検討と意見の形成」です。
出力は必ず有資格者が検証してから採用し、1区分で効果を確認してから展開すれば、事務所の生産性を安全に上げられます。
自社の事務所の開示チェック工程のどこから着手すべきか迷っているなら、初月無料の経営AI診断(通常30万円相当)で、業務工程の可視化と具体的な改善提案までご一緒します。
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よくある質問
- Q. Claude Codeが有価証券報告書の記載内容の適正性を判断してくれるのですか
- A. 判断はしません。財務書類の監査証明業務(監査意見の表明)は公認会計士法が定める独占業務であり、有資格者本人が行う必要があります。また監査基準委員会報告書720が定める「その他の記載内容」の通読・重要な相違の検討義務も、常に監査人本人が担います。Claude Codeが担うのは、記載項目の網羅性チェックリストの下書き作成という準備段階の作業だけです。
- Q. Claude Codeが作った開示チェックリストはそのまま使ってよいですか
- A. そのまま使うのは避けてください。生成AIは開示府令の直近の改正点や、事務所・クライアント固有の過去の指摘事項までは正確に反映できないことがあります。出力された記載項目は、当年の改正反映・記載漏れ・前期指摘事項の反映の3点を必ず有資格者が検証してから、正式なチェックリストとして採用してください。
- Q. 顧客の有価証券報告書のドラフトや財務数値をClaude Codeに入力しても大丈夫ですか
- A. ドラフトや決算数値そのものを丸ごと入力するのは避けるべきです。記載区分名や一般的な開示項目名など抽象化した情報だけを使い、顧客固有の金額・取引先名・未公表の重要情報は入力しないルールを事務所内で決めておくと安全に運用できます。入力データを学習に使わない契約のAPIかどうかも合わせて確認してください。
- Q. 職員数の少ない会計事務所でも導入できますか
- A. 導入できます。いきなり全ての開示区分に広げず、事業の状況かコーポレート・ガバナンスの状況のどちらか一区分に絞ってチェックリストの下書きを作らせ、削減できた時間を実測してから他の区分に広げるのが失敗の少ない進め方です。所長自身が最初の1区分を試し、品質を確認してから職員に展開すると事故を防げます。
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