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冷凍冷蔵倉庫の温度管理・保管料計算をエクセルでやる限界と移行の判断基準

冷凍冷蔵倉庫の温度管理・保管料計算をエクセルでやる限界と移行の判断基準

冷凍冷蔵倉庫は温度帯別の在庫区分と保管料按分が要となるが、エクセル運用では記録漏れと按分計算の手間が広がりやすい。実装知と移行の判断基準を整理する。

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冷凍冷蔵倉庫の温度管理・保管料計算をエクセルでやる限界と移行の判断基準

冷凍冷蔵倉庫は温度帯別の在庫区分と保管料按分が要となるが、エクセル運用では記録漏れと按分計算の手間が広がりやすい。実装知と移行の判断基準を整理する。

冷凍・冷蔵・常温の3温度帯が混在する倉庫内を俯瞰した抽象的な概念イラスト 冷凍冷蔵倉庫は温度帯によって管理基準も保管料の単価も分かれる

冷凍冷蔵倉庫の在庫管理は「温度帯」を軸に設計する

冷凍・冷蔵・常温の3温度帯は法令上の管理基準も保管料の単価水準も別物で、1つの台帳で一律管理しようとすると必ずどこかで区分が崩れる。

冷凍冷蔵倉庫の在庫管理が一般倉庫と決定的に違うのは、商品ごとに「どの温度帯で保管するか」が最初に決まる点だ。食品衛生法に基づく一般的な目安として、冷蔵は10℃以下、冷凍は-15℃以下で管理されることが多いとされ、これに常温帯を加えた3区分が庫内レイアウトの前提になる。荷主や商材によっては同じ倉庫内で冷凍・冷蔵・常温を併設し、入荷のたびにどの温度帯のロケーションへ入れるかを判断する必要がある。

この温度帯区分は保管料の単価にも直結する。一般的な倉庫保管料の坪単価は4,000〜7,000円程度が目安とされる一方、冷凍冷蔵倉庫はパレット単価が常温倉庫の約2倍になる傾向があるとされ、冷却設備・断熱構造への投資コストが単価に反映されている。つまり温度帯を誤って混在させると、保管料の按分計算そのものが成立しなくなる。

温度帯一般的な管理基準の目安主な用途
冷凍-15℃以下程度冷凍食品・水産物・アイスクリーム等
冷蔵10℃以下程度生鮮食品・チルド品等
常温特段の温度指定なし常温保存可能な加工食品・資材等

※基準値は食品衛生法等に基づく一般的な目安であり、取り扱う品目・法令区分によって実際の基準は異なる。個別の運用基準は最新の法令・保健所の指導内容で確認が必要。

冷凍・冷蔵・常温の3温度帯ごとの一般的な温度管理基準の目安を示す比較図 温度帯の区分が保管料の単価水準にも直結する

温度記録エクセル運用が「記録漏れ」を生むメカニズム

手書き転記+エクセル入力の二段構えでは、休日・夜間・担当者不在のタイミングで記録が抜け、後から埋め戻す運用が常態化しやすい。

2021年6月の改正食品衛生法施行以降、食品を扱う事業者にはHACCPに沿った衛生管理の実施が求められるようになった。冷凍冷蔵倉庫でもこの流れを受けて、庫内温度の点検・記録を日次で行う運用が一般化している。目安として1日3回程度の点検・記録が推奨されるケースが多く、自記温度計や温度ロガーで連続記録を取りつつ、点検者のサインを添えて台帳に残す形が典型だ。

問題は、この記録を最終的にエクセルへ転記する運用そのものにある。現場の点検担当者が紙の記録用紙やロガーの表示を見てエクセルに手入力する場合、担当者の交代・休日・繁忙期の入出庫対応に紛れて記入が後回しになりやすい。後からまとめて入力しようとすると、実際の点検時刻と記録時刻がずれ、異常があった瞬間の記録が抜け落ちるリスクが生じる。複数の温度帯・複数の庫内エリアを1つのシートで管理していると、どのロケーションの記録が埋まっていないか一覧性が悪く、抜けに気づくタイミングも遅れがちになる。

倉庫内で温度記録簿に手書きで記入している後ろ姿のビジネスシーン 点検から転記までの二段構えが記録漏れの温床になる

保管料計算の実務——坪貸し・パレット建てとエクセル按分の限界

坪貸しは面積按分、パレット建てはパレット数×単価で計算するが、荷主が複数・入出庫が頻繁になるほどエクセルの月次按分は手作業のズレが蓄積する。

保管料の計算方法は大きく2通りある。坪貸しは「保管坪数×坪単価」で計算し、目安として坪単価4,000〜7,000円程度が相場とされる。パレット建ては「使用パレット枚数×パレット単価」で計算し、1パレットはおおむね0.5坪相当として扱われることが多い。パレット単価は首都圏の常温倉庫で3,000〜5,000円程度が目安とされ、冷凍冷蔵倉庫ではその2倍前後になる傾向があるとされる。さらに冷蔵・冷凍倉庫では、一般的な3期制(月を3期に分けて日割り計算する方式)ではなく2期制を採用するケースがあるなど、計算の基準期間そのものが一般倉庫と異なる場合がある。

この按分計算をエクセルで再現しようとすると、荷主が増えるほど数式が複雑化する。日々の入出庫でパレット数が変動する中、月末に荷主ごとの平均保管パレット数を算出し単価を掛けて請求額を出す——という流れ自体は難しくないが、途中で入出庫のタイミングが日をまたぐケース、一時的に温度帯を切り替えたケース、複数荷主の商品が同じパレットに混載されたケースなどが発生すると、按分ロジックがシート上で分岐し、担当者以外には計算根拠が追えなくなる。請求後に荷主から「数量が合わない」と問い合わせが来て、当月の入出庫記録まで遡って手作業で検算する、という運用に陥りやすい。

  • 坪貸し:保管坪数×坪単価(目安4,000〜7,000円/坪)
  • パレット建て:使用パレット数×パレット単価(常温目安3,000〜5,000円、冷凍冷蔵はその2倍程度が目安)
  • 期制:3期制が一般的だが、冷蔵・冷凍倉庫では2期制を採る例もある

坪貸しとパレット建てという2つの保管料計算方式の違いを示す比較図 計算方式そのものはシンプルだが荷主数が増えるほど按分の分岐が増える

荷主別の在庫可視化不足が拡大するメカニズム

荷主数・パレット数が増えるほど「どこに・何が・誰の分」を1シートで追うのは組み合わせ的に破綻し、棚卸や誤出荷対応の負荷が跳ね上がる。

温度記録・保管料計算に加えて、複数荷主を抱える冷凍冷蔵倉庫でもう一つ壁になるのが、荷主別・ロケーション別の在庫可視化だ。庫内のどのロケーションに、どの荷主の、どの温度帯の商品が、何パレット入っているかをエクセルで管理しようとすると、荷主が1〜2社のうちは何とか回っても、荷主数が増えるほど参照すべきシートやフィルタ条件が増え、「今この瞬間の正確な在庫数」を即答できない状態に近づいていく。

この可視化不足が顕在化するのは、棚卸や急な出荷対応の場面だ。棚卸のたびに複数シートを突き合わせて手作業で在庫数を確認する時間が発生し、繁忙期には出荷指示から実際のピッキングまでにタイムラグが生まれる。さらに、温度帯をまたいだ誤ったロケーションへの入庫(本来冷凍で保管すべき商品を冷蔵ロケーションに置いてしまう等)が起きても、リアルタイムでエクセルがアラートを出す仕組みは基本的に存在しないため、発見が遅れるほど商品への影響やクレーム対応のリスクが大きくなる。

複数の荷主の商品が混在する庫内で在庫の所在が分かりにくくなっている様子を示す抽象イラスト 荷主数が増えるほど「今どこに何があるか」の即答が難しくなる

エクセルの限界内でできる改善策

温度記録簿の一元化、保管料按分マスタの分離、条件付き書式によるアラートだけでも、システム化前にできる改善の余地は意外と広い。

すぐにシステムを入れ替えられない場合でも、エクセルの構造を見直すだけで運用の限界を先送りすることはできる。具体的には、温度帯・エリアごとに分散している記録簿を1つの一元台帳にまとめて未記入セルが一目で分かるようにすること、保管料の按分計算式を案件ごとのシートから切り離して単価マスタとして分離すること、温度異常や保管料計算の期限が近づいたら条件付き書式で色が変わるルールを一括適用することの3つが効果的だ。

それでも、この改善は「エクセルが壊れる時期を先送りする」対策であって、荷主別の在庫可視化不足という構造的な限界は解消しない。自社のどの業務が一番のボトルネックになっているか判断に迷う場合は、初月無料の経営AI診断(通常30万円相当)で現状の温度記録・保管料計算の運用を可視化するところから始めるのも一つの手だ。診断では自社の業務のどこにAIやシステム化の余地があるかを整理し、具体的な改善提案まで一緒に検討する。

デスクでノートパソコンのエクセル台帳を操作している手元のビジネスシーン マスタ分離とアラート設定だけでも運用の限界は先送りできる

WMS(倉庫管理システム)へ移行する判断基準

荷主数が一定を超えた、温度帯の誤入庫が実際に起きた、保管料の問い合わせ対応が月次で発生している——このいずれかに当てはまれば、エクセルの延長では吸収しきれないサインだ。

WMS(倉庫管理システム)を導入すると、ロケーションと商品にあらかじめ温度帯を設定し、誤った温度帯への入庫を仕組みでチェックできるようになるとされる。また荷主別の在庫残高をリアルタイムで把握できるため、棚卸や出荷対応にかかる時間を削減できる可能性がある。ただし、こうした機能はいずれも自社の運用規模に見合うかどうかで投資対効果が変わるため、導入前に自社の課題が本当にシステムでしか解決できないものかを見極める必要がある。

判断に迷う場合は、次のようなサインが出ていないかを確認するとよい。取り扱う荷主数が増え続けエクセルの按分計算シートが荷主ごとに枝分かれしている、実際に温度帯の誤入庫や記録漏れが一度でも起きた、保管料請求後に荷主から数量の問い合わせが月次で発生している——これらは個別の工夫では解消しにくい構造的な限界のサインだ。

移行を検討する場合の現実的な順序は、(1)現行の温度記録簿と保管料台帳をすべて洗い出し荷主・温度帯ごとの按分の分岐を一覧化する、(2)温度記録と在庫ロケーションをシステム上で一本化する、(3)保管料按分ロジックを自動化し荷主からの問い合わせに即答できる仕組みにする、の3ステップで考えると全体像を把握しやすい。いきなり全体をシステム化するのではなく、破綻が最も起きやすい保管料按分から着手する事業者も多い。

エクセルからWMSへ移行する際の3ステップの手順を示すフロー図 棚卸→一本化→自動化の順で段階的に移行するのが現実的だ

まとめ

冷凍冷蔵倉庫の温度管理・保管料計算は、温度帯別の区分管理と荷主別の按分計算という2つの軸が絡み合うため、1つのエクセル台帳では吸収しきれない場面が増えていく。まずは記録簿の一元化と保管料按分マスタの分離から着手し、それでも荷主数の増加や記録漏れが解消しないと感じたら、初月無料の経営AI診断(通常30万円相当)で自社の温度管理・保管料計算の現状を可視化してみるとよい。

よくある質問

冷蔵・冷凍倉庫の温度基準はどのくらいですか

食品衛生法に基づく一般的な目安として、冷蔵は10℃以下、冷凍は-15℃以下で管理されることが多いとされます。ただし取り扱う品目や法令上の区分によって基準は異なるため、自社が扱う商材がどの区分に該当するかは個別に確認する必要があります。温度帯の区分はあくまで在庫管理・保管料設計の前提であり、法令上の最終判断は最新の基準を確認してください。

温度記録は1日に何回必要ですか

一般的な目安として、1日3回程度の点検・記録が推奨されるケースが多く見られます。加えて自記温度計や温度ロガーによる連続記録を併用する事業者も増えています。ただし必要な頻度は取り扱う品目・保健所の指導・自社の衛生管理計画によって変わるため、目安として捉え、自社の管理計画に沿って運用することが前提になります。

保管料は坪貸しとパレット建てのどちらが安いですか

一概にどちらが安いとは言えず、荷姿・回転率・庫内の使い方によって有利不利が変わります。目安として坪貸しは坪単価4,000〜7,000円程度、パレット建ては1パレットあたり常温で3,000〜5,000円程度、冷凍冷蔵ではその2倍前後になる傾向があるとされます。実際の単価は倉庫の立地・稼働状況で変動するため、複数の見積りで比較するのが現実的です。

エクセル運用からWMSに移行する場合、何から着手すべきですか

いきなりシステムを導入するのではなく、まず現行の温度記録簿と保管料台帳を棚卸しし、荷主別・温度帯別にどこで按分計算が破綻しているかを一覧化するところから始めるのが現実的です。そのうえで温度記録の一元化、保管料按分ロジックの標準化という順に優先度をつけると、投資対効果を見極めやすくなります。

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よくある質問

Q. 冷蔵・冷凍倉庫の温度基準はどのくらいですか
A. 食品衛生法に基づく一般的な目安として、冷蔵は10℃以下、冷凍は-15℃以下で管理されることが多いとされます。ただし取り扱う品目や法令上の区分によって基準は異なるため、自社が扱う商材がどの区分に該当するかは個別に確認する必要があります。温度帯の区分はあくまで在庫管理・保管料設計の前提であり、法令上の最終判断は最新の基準を確認してください。
Q. 温度記録は1日に何回必要ですか
A. 一般的な目安として、1日3回程度の点検・記録が推奨されるケースが多く見られます。加えて自記温度計や温度ロガーによる連続記録を併用する事業者も増えています。ただし必要な頻度は取り扱う品目・保健所の指導・自社の衛生管理計画によって変わるため、目安として捉え、自社の管理計画に沿って運用することが前提になります。
Q. 保管料は坪貸しとパレット建てのどちらが安いですか
A. 一概にどちらが安いとは言えず、荷姿・回転率・庫内の使い方によって有利不利が変わります。目安として坪貸しは坪単価4,000〜7,000円程度、パレット建ては1パレットあたり常温で3,000〜5,000円程度、冷凍冷蔵ではその2倍前後になる傾向があるとされます。実際の単価は倉庫の立地・稼働状況で変動するため、複数の見積りで比較するのが現実的です。
Q. エクセル運用からWMSに移行する場合、何から着手すべきですか
A. いきなりシステムを導入するのではなく、まず現行の温度記録簿と保管料台帳を棚卸しし、荷主別・温度帯別にどこで按分計算が破綻しているかを一覧化するところから始めるのが現実的です。そのうえで温度記録の一元化、保管料按分ロジックの標準化という順に優先度をつけると、投資対効果を見極めやすくなります。

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